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 「雄飛」の期シリーズ 14
 法を護るために
 身近かにあって頑張っている 弁護士と弁護士会
弁護士 小原久幸(15期

昨年から本年にかけての一年余は、社会的・経済的大事件が続発し、世紀末の予感さえさせるものでした。
 阪神大震災・オウム真理教の諸事件・金融機関の破綻と不祥事・沖縄の米軍基地問題・住専処理問題等と列挙するだけでも本当に腹立たしい限りです。
 その中でオウム関連の事件では、大阪弁護士会所属の弁護士青山吉伸が信者であると共に顧問弁護士の立場にあったこと。また教祖麻原彰晃のもと私選弁護人で、テレビでの放言、週刊誌への麻原らの供述調書の販売等といった大失態をしでかした弁護士横山昭二が同じく大阪弁護士会所属であったことから、東京弁護士会の諸先生から「大阪弁護士会は何をしとるんや。早く両名を処分しろ。弁護士のこけんにかかわる。」等々厳しいお叱りをうけることになりました。
 青山弁護士は自ら弁護士の職を捨てましたが、横山弁護士は、我、意に介さずの態度であったことから、大阪弁護士会から本年6月13日付で懲戒処分をうけ、弁護士会を除名になりました。従って以後は弁護士活動ができなくなっています。
 弁護士には停年がなく、心身に故障がない限り続けられる仕事ですが、必ず日本弁護士連合会(略して日弁連)に所属すると共に、各地の弁護士会に所属しない限り活動はできません。この点は医者が各地の医師会に所属しなくても活動できるのとは大きな違いです。
 各弁護士会は所属弁護士に会則違反や会の秩序・信用を害したり、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があった時は懲戒することができ、戒告・二年以内の業務停止・退会命令・除名の四種類があります。さらに弁護士は、懲戒とは別に禁こ以上の刑に処せられたり、破産をした時は、弁護士資格がなくなり活動できなくなります。これは結構厳しいもので、他の資格者と違うところです。特に車を運転する人は注意が必要で、事故を起こしても罰金の範囲内にしておかないと、執行猶予でも資格がなくなります。また業務上のミスで顧客から訴えられ、その賠償金が支払えず破産を申し立てられた時も資格を失うことになります。従ってほとんどの弁護士は「弁護士賠償保険」に入っており、私も億単位で加入しています。
 懲戒には即時弁護士生命を絶つものとして、先程の除名があり、少なくとも3年間は資格がなく、3年経過後も弁護士会の審査があり、必ずしも復職できるとは限りません。また業務停止については、その期間は一切業務に関する事はできず、顧問料の受け入れは勿論、事務所への立入りも禁止され、一般人が考える様な隠れて仕事をしても分らないであろうという程、甘くはないのです。
 まあ何はともあれ、テレビを賑わせて有名先生も、ここ久しくテレビに出ることはなく、また弁護士ができなくなったわけで、大阪弁護士会としても、各地弁護士会や市民に対する信用も何とか取り戻せた感じです。
 折しも現在NHKの朝の連続ドラマ「ひまわり」で、女性弁護士を目指す内容の放送がなされており、皆様も弁護士になるにはどうしたらよいのか、またどういい修習をするのかをテレビでご覧になっていると思います。
 八月初め時点では、主人公は東京での4ヶ月間の教室での勉強を終え、実務修習のために福島地方裁判所に配属され、4ヶ月間の弁護士修習を終え、検察修習が始まったところです。検察修習として被疑者(佐藤慶)を取り調べる段階で、今後は4ヶ月間は検察庁での、次いで8ヶ月間は裁判所での実務修習となり、それが終わると全員がまた東京に集まって、最後の仕上げを教室で勉強し、丸2年の修習が完了し、卒業試験となるのです。これも毎年2〜3名は落第します。主人公は無事卒業試験に合格して、めでたく希望の弁護士になれるのでしょうか。
 卒業者は弁護士だけでなく、裁判官、検事にもなれるのです。この様に司法試験に通り、2年間の司法修習生を終えると、弁護士、裁判官、検事になれることから、後日裁判官や検事をやめて弁護士になる人も多数おり、逆に弁護士から裁判官、検事になる人もいます。因みにこの5年間で、裁判官22名、検事4名の任官者がでています。
 これは法曹一元花、つまり裁判官や検察官は市民の生活に直接触れてきた弁護士から採用していこうとする努力の現れです。そのためにも弁護士は、身近で依頼しやすい存在になる様努力すべきであり、私もそうなりたいと思っています。

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