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 「雄飛」の期シリーズ 19
 「日々是寧日」
寒川猫持(20期生)

   NHKテレビから「課外授業」の”ようこそ先輩”で五条小学校に行かないかと言われたと思ったら、今度はお隣の夕陽丘中学校からの寄稿依頼である。
 合縁奇縁というか、世の中寔に不思議なモノである。
 私は現在、週に2日計6時間の目医者のアルバイトの他は文士として暮らしている。
 下積み期間6年、プロとしてデビューして6年。思えば遠くへ来たもんだ。干支でいえば一巡した事になる。
 文士稼業は、働いているようで働いていない、働いていないようで働いている、といった奇妙奇天烈な代物ではあるが、これを生活としているのであるからやむを得ない。やむを得なければ仕方がない。
 目下のところは毎日新聞大阪本社版土曜日夕刊、「小説すばる」ならびに専門分野の月刊誌「眼科ケア」に連載をしている。あとは、短期の連載、一回キリの原稿依頼、テレビ・ラジオの出演、講演などが仕事の内容である。
 他人の目にはお気楽に見えるかもしれないが、これで結構シンドイのである。
 文士もこれからはインターネットの時代だと、誰かに言われたのか、或は自分で思い付いたのかは定かではないが、私もインターネット上に自分のホームページなるモノを持ってみることにした。
 言うてすまんが、こう見えてもかなりの数のファンがいるので、そのサービスの一つとして右の如き次第とは相成りけり。
 今回原稿の直接の依頼者である、同級生中越一之君の細君(慈子さん)が、夫君がその方面の仕事をしていると教えてくれた。
 遅かりし由良之助。中越君なら知らぬ仲ではない。ただいまは音信不通だが、むかしはよく一緒に遊んだモノである。そーゆーことは、もう少し早く言ってもらいたい。
 彼なら、ここをこうしてくれだとかいろいろ言い易かりしものを。残念なことをしたと思う。
 因みに、私のホームページのURLはhttp://www.nekomochi.comである。お暇な時にでもごらん被下度。
 それはさておき
 閑話休題。
 母校、夕陽丘中学校を卒業して既に33歳を閲する。
 往時はいろんな意味で今日在るを夢想だにしなかったが、こうして同窓会紙に駄文を草していると、スライドショーのようにあの頃の事共が脳裏に去来して、遉に懐かしい。
 今更当時に戻りたいとは思わないが、今昔の感に堪えないのである。
 われわれ第20期生は、まさに齢知命に垂んとす。
 人間50年と古人は言った。
 どこにいるのか、今ではわからない同級生も沢山いるけれど、みんな達者で暮らしているだろうか。
 心に浮かぶ由無し事を認めているうちに紙数も尽きた。
 文士なんて、所詮は浮草稼業ではあるが何とかメシは食えているので、日々是寧日なのである。

<プロフィール>
昭和28年大阪府生まれ。
週刊新潮の「夏彦の写真コラム」で名高い山本夏彦に師事する。
同門には向田邦子、出久根達郎、安部譲二、久世光彦など多彩。
趣味は愛車ポルポル君でのドライブ、映画、音楽、読書、酒と薔薇と猫。
現在は、毎日新聞大阪本社版に「子ども歌俳教室」、小説すばるに「猫舌漫遊記」等を連載中である。
すばるに発表した初の中編小説「走馬灯の夜」も近々刊行予定。
毎日文化センターで短歌教室の講師をつとめる。

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